この記事では、Claudeの最新版Claude Sonnet 4に対して三輪さんについて聞いてみた結果を報告します。実験は2025年5月28日に行いました。
これまで3回にわたり、最新の生成AI(いずれも無料版で利用できるChatGPT 4o 検索あり、 Gemini 2.5 Flash)に対して、以下の問い合わせを行った結果を報告してきました。
- 三輪眞弘の虹機械はどのような作品ですか?
- 三輪眞弘の「新調性主義」について説明してください。
- 三輪眞弘の「逆シミュレーション音楽」について説明してください。
経緯を再度述べると、このうち最初の虹機械についての質問は、本企画「三輪眞弘について生成AIに聞いてみた」を開始した直後(2025年3月)に問い合わせを行ったところ、「幻覚(Hallucination)」が発生してしまい、ほとんどがフェイクであったことから、RAGを試作しての補完する実験を行うに至りました。ところがそうしているうちに、ChatGPTでもWeb検索との併用が行えるようになり、もともとWeb検索を併用していたGeminiは2.0 Flashから2.5 FlashにLLMのバージョンが上がったために、回答にどのような変化が起きているかを検証・確認する意図で、再度問い合わせたものです。その結果が想定を上回る高精度の回答であったことから、追加で「新調性主義」「逆シミュレーション音楽」についてのプロンプトに対してどんな答えが返って来るかを追加で検証して報告した、というのが経緯になります。
ところが、その実験と報告が済んだタイミングで、Claudeが4を公開したとのアナウンスに接することになりました。Claudeは最初の検証時点で3.7 Sonnetが無料版で利用可能であり、その後も変化がなかったため、再検証の対象からは除外したのでしたが、Claudeもまたバージョンアップされたため、上記3つのプロンプトを投げて結果を確認することにしました。
なおClaude Sonnet 4の特徴として、LLM自体の性能が大幅に向上した他、Web検索を併用するようになった点が挙げられます。もともと有料版では3.7でも提供されていた機能でしたが、4にアップグレードすると同時に無料版でも提供されるようになったようです。
ここまで検証結果をフォローして下さってきた方には容易に想像がつくかと思いますが、LLMの性能が向上した上で、Web検索を併用するようになれば、回答の品質が大幅に改善されるのは当然に予想されることで、関心はその程度に向かうことになります。結論を先に述べると、虹機械については、ChatGPT 4oと同様、大井浩明さんのブログ記事に基づいた回答が得られ、逆シミュレーション音楽についても、やはりChatGPT 4oが参照先の一つとして用いたIAMAS(情報科学芸術大学院大学)の逆シミュレーション音楽を紹介するWebページに基づいた回答が得られたのに対し、新調性主義についてはWeb検索で情報が得られなかったとして、「わからない」との回答が返ってきました。
最後の点については、ChatGPTがnoteの記事も参照先に含めているのに対して、Claudeは信頼性の高そうな、オフィシャルなサイトに参照先を限定しているといった違いがあることが影響しているのではないかと想像します。私がこれまで利用した限りでの印象に過ぎませんが、これはGeminiについても言えて、ChatGPTに比べて利用する情報ソースの信頼性について相対的にはより慎重であるように思われます。
いずれにせよ、上記より、得られる情報の妥当性としては、Claude Sonnet 4も申し分ないものになっているという評価になるかと思います。この変化が、わずか3か月にも満たない短期間で起きたことについて、改めて驚かされ、特に最近のLLMおよび生成AIの性能向上のスピードは一段と加速しているような印象さえ覚えます。しばらくすれば検証結果が意味を持たなくなることは当然のこととして予想はしていたのですが、タイミングの問題はあるにしても、こんなにも早く、全く使い物にならなかったものが、それなりに使えるものになるのを目の当たりにすれば、どうしても驚きが先に立ってしまいます。情報を収集する速度に関して言えば、人間とは比較にならない程高速なわけですから、得られた情報を適切に要約することができれば、(勿論、得られた情報が「正しい」ことが前提である点は変わりないのですが)場合によっては人間を凌ぐ調査能力を発揮することは十分に考えられます。実際、今回の再検証で用いたモデルは、各商用生成AIの最高のモデルではなく、無料版で利用できる、性能的には制限のあるバージョンに過ぎません。そして無料版においてすら、GeminiやChatGPT ではDeep Researchという、より深い推論が行えるLLM(Gemini では2.5 Pro、ChatGPTでは o3)を用いたレポート作成機能が、回数制限つきながら既に利用可能になっています。そこで次回は、Deep Researchを用いたら回答にどのような違いにあるかを報告したいと思います。
本記事の報告によって、本企画での検証対象としている商用生成AI(ChatGPT, Gemini, Claude)の全てにおいて、無料版で使えるモデルでもWeb検索が併用でき、結果として妥当な回答が得られるようになっていることを確認できました。結果として、こと三輪さんに関する一般的な情報に限って言えば、RAG構築の必要性は低下しており、それでも質問によっては時折混じるであろうフェイクの可能性に対するファクトチェックを怠らないようにすれば、生成AIは十分に活用できるように感じました。
(2025.5.28)
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プロンプト:三輪眞弘の虹機械はどのような作品ですか?
Claude Sonnet 4 (2025.5.28)
検索結果を見る限り、「虹機械」という具体的な作品名は見つかりませんでした。より詳しく調べてみましょう。
三輪眞弘の「虹機械」について詳細情報が見つかりました。
三輪眞弘の「虹機械」(Rainbow Machine)は、実際には複数の作品があります。「虹機械」というタイトルの作品は過去に2つあり、一つは2008年に甲斐史子(vn)+大須賀かおり(pf)のユニット"ROSCO"に演奏を依頼した「ふたりの奏者のための単旋律」、そしてもう一つは、かつての四谷アート・ステュディウムでぼくが担当していた授業で知り合った田中翼さんの要望に応えて書かれた「第二番 7つの照射」であるとされています。
さらに、「虹機械 公案-001」(Rainbow Machine Koan-001)という作品もあり、これらの虹機械シリーズの一環として作られています。
三輪眞弘は日本の作曲家、メディアアーティストで、1980年代後半からコンピュータを用いた作曲の可能性を探求し、特にアルゴリズミック・コンポジションと呼ばれる手法で数多くの作品を発表しています。彼の作品は「逆シミュレーション音楽」という独自の概念で知られ、2007年にはアルス・エレクトロニカでゴールデン・ニカ賞を受賞しています。
「虹機械」は、彼のコンピュータ音楽とアルゴリズミック・コンポジションの技法を用いた現代音楽作品群の一つとして位置づけられます。
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プロンプト:三輪眞弘の「新調性主義」について説明してください。
Claude Sonnet 4 (2025.5.28)
検索結果を見た限りでは、三輪眞弘が特別に「新調性主義」という用語を提唱したり、これを主要なテーマとして論じた記録は見つかりませんでした。
三輪眞弘については、彼が1980年代後半からコンピュータを用いた作曲の可能性を探求し、特にアルゴリズミック・コンポジションと呼ばれる手法で数多くの作品を発表していることや、「逆シミュレーション音楽」という独自の概念で知られていることが確認できます。
「新調性主義」(Neo-tonalism)は一般的には、20世紀の音楽作品において、共通慣行時代の調性(機能和声と主音-属音関係)が、調中心の主張や中心和音周辺の対位法的動きなど、一つまたは複数の非伝統的な調的概念に置き換えられた音楽構成を指す包括的な用語とされています。
もしかすると、三輪眞弘の音楽理論や美学に関する特定の文献や講演の中で「新調性主義」について言及されている可能性がありますが、現在の検索結果からは具体的な内容を確認することができませんでした。彼の著書『三輪眞弘音楽藝術 全思考1998-2010』(アルテスパブリッシング)などの文献を直接参照する必要があるかもしれません。
より詳細な情報をお求めでしたら、具体的にどのような文脈で「新調性主義」についてお聞きになったのか教えていただけると、より的確な回答ができるかもしれません。
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プロンプト:三輪眞弘の「逆シミュレーション音楽」について説明してください。
Claude Sonnet 4 (2025.5.28)
三輪眞弘の「逆シミュレーション音楽」について説明いたします。
逆シミュレーション音楽は2002年に三輪眞弘によって発表された音楽の方法論です。これは三輪眞弘独自の音楽理論であり、2007年、アルス・エレクトロニカのデジタルミュージック部門にてゴールデン・ニカ賞(グランプリ)を受賞した概念です。
逆シミュレーション音楽の最初の作品として、《またりさま》は2002年4月に行われた「第2回方法芸術祭」で発表された最初の逆シミュレーション音楽作品です。8人のプレーヤーが順番に鈴かカスタネットを規則に従って叩いていくというシンプルな作品ですが、逆シミュレーション音楽を形作る基本的な要素を、分かりやすく表現しています。
この方法論は、従来のコンピュータ音楽がリアルタイムでの音響合成や音響処理を中心としていたのに対し、より根本的な音楽の構造や演奏行為そのものをアルゴリズム的に構成する手法といえます。三輪眞弘は1980年代後半からコンピュータを用いた作曲の可能性を探求し、特にアルゴリズミック・コンポジションと呼ばれる手法で数多くの作品を発表してきましたが、逆シミュレーション音楽はその発展形として位置づけられます。
この手法による作品には《またりさま》の他に《村松ギヤ》や「無限旋律生成術」などがあり、演奏者が単純な規則に従って行動することで、複雑で予測不可能な音楽的結果を生み出すことを特徴としています。
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